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富山県を中心に北陸をこっそり応援するブログ。

黒部峡谷秘境、黒部ルート見学会(1)

地中深く、人知れず今日も電力安定供給のため動くインクライン


富山県を代表する風景地、黒部峡谷宇奈月(うなづき)から欅平(けやきだいら)までトロッコで冬期以外はいつでも見学できます。上流にある黒部ダム立山黒部アルペンルートを使えば見に行くことができます。しかし、この黒部ダムから欅平間は観光整備されておらず、関西電力の関係者や工事関係者のみが使用するトンネル、インクライン、バッテリー駆動のトロッコがあります。


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この黒部峡谷電源開発については近代日本を語る上で必ず出てくる話題となっており、石原裕次郎主演映画「黒部の太陽」を始め、吉村昭著「高熱隧道」など、多数の有名な作品があります。
NHKプロジェクトX」では黒部ダム建設の苦労と困難、そしてそれを克服して完成に至った「シリーズ黒四ダム」を放映。この回は特に人気となり、2002年の第53回NHK紅白歌合戦では主題歌「地上の星」を中島みゆきが黒四発電所前のトロッコ用隧道から熱唱、その年の歌合戦瞬間最大視聴率54%出したことでも話題になりました。

一般旅行客は立ち入ることの許可されてない区域ですが、関西電力富山県による見学会に応募することで、抽選ですが見ることができます。今回、幸いに当選したのでこの珍しい黒部ルートの撮影に行ってきました。

見学会は黒部ダム側から下流欅平に向かう組と、欅平から上流の黒部ダムに向かう組、それぞれ30名ほどが参加できます。自分は今回、黒部ダム側からの見学になりました。この日の黒部ダムは観光放水前の時期なので静かです。

長野県側の出入り口にあたる黒部ダム駅から少し歩いて、関係者専用道路の黒部トンネルを約10km、バスに乗って進みます。途中、トンネル掘削時の土砂搬出や換気用を兼ねた横坑が何本かありますが、基本的に一本道。しばらくするとインクライン乗り場に着きます。

この乗り物で高さ456mを20分かけて降ります。インクラインはケーブルカーと同様の仕組みですが、主として取り扱うのが乗客ではなく発電所に必要な機材や重機。写真ではわかりにくいのですがとても大きく、水平にした台にプレハブ小屋が乗ってるような印象です。

こちらがインクラインの寸法図。

角度が非常に高く、平均勾配34度。スキー場のジャンプ台とほぼ同じらしいです。反対側にあるインクラインとつるべ式で運転が行われてます。

こちらがもう一方のインクライン。中には欅平より見学会に参加した方々が乗ってます。ちなみに余談ですが、アニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に登場するインクラインのモデルでもあるそうで。後ほど立ち寄った黒部川第四発電所の応接室には庵野監督のサイン色紙も置かれてました。

上の写真はフルHDの壁紙サイズでもアップロードしたので、どうぞ大画面で迫力ある雰囲気を見て頂ければと思います。
http://f.hatena.ne.jp/inoue1024/20110617193521

下の駅に着くとすぐ、黒部川第四発電所入り口があります。

紅白中継冒頭のシーンはこちら。全ての機器や施設が地下に作られているという、まるで秘密基地のような作りです。

こちらが発電室。発電機は4基あり、うち一つがこの時は定期点検のため分解されてました。この空間だけでも地下とは思えない広さですが、さらにこの下に5層あり、水車や水路、送電線などがあるとのこと。

使われている水車は非常に巨大で重厚。この水車の回転によって発電が行われます。

制御室は無人。今は下流にある施設から遠隔制御が行われているため、基本的に人はいないそうです。

発電所の見学が終わると、バッテリー駆動のトロッコに乗って下流に向かいます。

ブレ気味ですが、この先の広いところが紅白歌合戦の中継に使われたところだそうです。狭い坑道がほとんどのなかで、なんとか少しでも広いスペースを使ったとのこと。放送の時はこの狭いスペースにNHK職員や関電関係者数十人がいたそうで。

記事としてかなり長くなったので、その2に続きます。
http://d.hatena.ne.jp/inoue1024/20110618/1308323009