富山県にある円筒分水 - こっそり支援

アニメ監督の西村純二さんが富山県南砺市井口にある赤祖父ため池の円筒分水漕を見たとき、いつまで経ってもそこを動かず、同伴の脚本家が困るくらい見入ってしまったとのこと。

「どこまでが人工物で、どこから自然なのかわからないところに惹かれた」…この言葉はそのまま、南砺市限定で視聴ができるアニメ「恋旅〜True Tours Nanto」に使われました。

「恋旅〜True Tours Nanto」匠と夏子後編でこのように登場しました。

まだダムなどがなかった時代、全国各地で水利権を巡る争いが絶え間なく起こりました。時には傷害や殺人にまで発展するくらいの奪い合いになったため、大正時代あたりから「円筒分水」が作られ、公平に分水が行われるようになりました。

今でも全国に円筒分水が点在しており、富山県内では4カ所に現存しています。今回、たまたま撮影に行く機会があったので各所を撮してきました。

なお、各所の情報作成に当たってはｏｚａｖｓｋｉさんによる「円筒分水データベース」を参考にさせて頂きました。下記リンクがそのサイトになります。貴重なデーターベースの制作に感謝です。
http://entoubunsui.com/index.html

・赤祖父ため池の円筒分水漕

上記、西村監督が立ち寄ってアニメのモデルとなった場所。富山県内にある円筒分水のなかで、敷居も無く完全な円形なのはこの赤祖父円筒分水のみ。そのため他と比べてとても水面が滑らかに見えます。

看板は割と最近、作り直された様子。

呉西地区で現存している円筒分水は、この１カ所のみのようです。

・上市川沿岸土地改良区円筒分水場

途中の道は舗装されておらず、高級車と言われる車種ではたどり着けない細い道を通る必要ありますが、周辺は整備されており案内看板もあります。

上市川発電所で使用した水をそのまま農業用水にしているらしく、かなりの勢いがあります。

見つけにくさがネックですが、秘境っぽい良さもあります。

・貝田新円筒分水

魚津市に2カ所存在している円筒分水の一つ。他と比べると水面が低く、足場や水門施設などいろいろついているため、ぱっと見はわかりにくいです。
ただ、水量はもの凄く勢いがあり、分水の側ではすぐ横にいる人との会話もできないくらいの水音です。

分水の大半が、片貝川の地下を通って対岸にある東山円筒分水に送られます。
立ち寄った日は好天が数日続いている時だったためか、水がもの凄く綺麗だったのが印象的でした。